2026.09.28
ヨガの呼吸法とは?代表的な6つの種類・効果・自分に合う選び方を解説
トレーニングやボディメイクを頑張っていても、「呼吸」まで意識できている方は意外と少ないのではないでしょうか。ヨガの呼吸法は、リラックスやストレス解消のためだけではありません。姿勢やパフォーマンス、睡眠の質にもつながる、いわば運動習慣の土台です。
この記事では、ヨガの代表的な呼吸法6種類のやり方と効果に加えて、アーユルヴェーダ(インドの伝統医学)の考え方をもとに「今の自分に合う呼吸法」を選ぶコツ、そしてトレーニング前後への取り入れ方もご紹介します。
ヨガの呼吸法(プラーナーヤーマ)とは?
ヨガの呼吸法は、サンスクリット語で「プラーナーヤーマ」と呼ばれます。「プラーナ」は生命エネルギー、「アーヤーマ」は制御・拡大を意味する言葉です。つまりプラーナーヤーマとは、単に酸素を取り込む動作ではなく、自分の中の生命エネルギーを整え、拡大させ、そして扱えるようになるための練習なのです。
ヨガでは、ポーズ(アーサナ)と同じくらい、呼吸法の練習が重要です。体を整え、呼吸を整えることで、初めて心を整える準備が整う。そう考えられているからです。
まずは基本から。腹式呼吸と鼻呼吸

どの呼吸法にも共通する土台になるのが「腹式呼吸」と「鼻呼吸」です。まずはこの2つを体に覚えさせましょう。
腹式呼吸のやり方
- 楽な姿勢で座り、お腹に軽く手を当てます
- 鼻からゆっくり息を吸い、お腹が膨らむのを感じます
- 鼻から息を吐き、お腹がへこんでいくのを感じます
肩や胸が上下に動く「胸式呼吸」になっている方が多いので、まずはお腹の動きに意識を向けることから始めてみてください。
なぜ鼻から吸って鼻から吐くのか
ヨガの呼吸は基本的に鼻から行います。鼻を通ることで空気が加湿・浄化され、口呼吸に比べて自律神経が乱れにくいといわれています。また、鼻呼吸のほうが自然と呼吸が深く、ゆっくりになりやすいという特徴もあります。
代表的なヨガの呼吸法6選|やり方と効果
基本の呼吸に慣れてきたら、目的別の呼吸法にも挑戦してみましょう。ここでは代表的な6種類をご紹介します。
完全呼吸法(フルヨギックブレス)
お腹→胸→鎖骨の順に空気を満たしていく、呼吸法の基本形です。3つの部位を意識して呼吸することで、肺全体をしっかり使うことができます。すべての呼吸法の土台になる練習です。
片鼻呼吸法(アヌローマ・ヴィローマ)

指で片方の鼻を押さえながら、左右交互に呼吸する方法です。自律神経のバランスを整えたいときにおすすめで、練習後は頭がすっきりと静まるような感覚があります。季節の変わり目や、疲れがとれないときにおこなうといいでしょう。
勝利の呼吸(ウジャイ呼吸)

喉の奥を軽く締めながら、「ハー」という音をわずかに立てて呼吸する方法です。音に意識を集中させることで、雑念が減り、ポーズの練習中も集中力を保ちやすくなります。自分の体の中で、呼吸音を感じるのはなかなか気持ちよいものですよ。
蜂の羽音の呼吸(ブラーマリー)

両耳を親指でそっと塞ぎ、蜂の羽音のような「ンー」という音を鼻から出しながら息を吐き切ります。自分の出す音だけに集中し、頭蓋骨の振動を感じてみましょう。思考が静まり、寝る前の練習にも向いています。
火の呼吸(カパラバティ)
お腹を使って短く強く息を吐き出す浄化法です。吸う動作は自然に任せ、吐く動作にリズムよく力を込めます。頭を活性化させたいときにおすすめです。代謝があがり全身の巡りが一気にアップします。
冷却の呼吸(シータリー)
舌を丸めてストロー状にし、そこから息を吸い込む呼吸法です。吸う息がひんやりと感じられ、体の熱を鎮めたいときに向いています。舌を丸められない方は、歯の間から吸う方法でも代用できます。
アーユルヴェーダで選ぶ、自分に合う呼吸法
ヨガと同じインド生まれの伝統医学「アーユルヴェーダ」では、人の体質を「ヴァータ」「ピッタ」「カパ」という3つのエネルギー(ドーシャ)で捉えます。今の自分の状態を、この3タイプに当てはめて呼吸法を選んでみると、より自分に合った練習ができます。
ヴァータ(風)体質・不安になりやすいとき
そわそわして落ち着かない、不安を感じやすいときは、心を鎮める「片鼻呼吸法」や「蜂の羽音の呼吸」がおすすめです。
ピッタ(火)体質・イライラしやすいとき
イライラしたり、頭に熱がこもるような感覚があるときは、体を冷やす「冷却の呼吸(シータリー)」を試してみてください。
カパ(水)体質・だるさを感じやすいとき
体が重く、やる気が出ないときは、体を活性化させる「火の呼吸(カパラバティ)」で目覚めのスイッチを入れましょう。
初心者がつまずきやすいポイントとコツ

呼吸法の練習でよくあるつまずきが、「猫背のまま呼吸してしまう」ことです。背筋が丸まっていると、肺が十分に広がらず、呼吸も浅くなってしまいます。まずは骨盤を立てて座り、頭のてっぺんが天井から引っ張られているようなイメージで姿勢を整えましょう。
また、呼吸の長さを無理に伸ばそうとして苦しくなってしまう方もいます。最初は「吸う・吐くを同じ長さで」を目安にし、慣れてきたら少しずつ吐く息を長くしていくと、無理なく呼吸を深めていくことができます。
呼吸法と瞑想の関係

ヨガには「八支則」と呼ばれる8つの段階があり、体を整えるポーズ(アーサナ)の次に呼吸法(プラーナーヤーマ)、そのあとに瞑想(ダーラナ・ディヤーナ)が続くとされています。呼吸法は、体の練習と心の練習をつなぐ、いわば橋渡しの役割を担っています。呼吸が整うと、自然と思考も静まり、瞑想状態に入りやすくなると言われています。
よくある質問
Q. 呼吸法はいつやるのがいいですか?
A. 基本的にはいつもで構いません。空腹時がベスト。朝の目覚めに活性系の呼吸法を、夜寝る前に鎮静系の呼吸法を取り入れると、生活のリズムを整えやすくなります。
Q. どのくらいの頻度で行えばいいですか?
A. 1回1〜3分程度から、毎日継続することをおすすめします。自然と呼吸をコントロールする感覚が身に付き、日常で変化を感じていきますよ。
Q. 妊娠中でも行えますか?
A. 火の呼吸(カパラバティ)など強く力を使う呼吸法は避け、腹式呼吸や片鼻呼吸法など穏やかなものを選びましょう。心配な場合はかかりつけ医にご相談ください。
ヨガの呼吸法がもたらす効果
呼吸法を続けることで、自律神経のバランスが整い、ストレスを感じにくくなったり、集中力が高まったりするといわれています。ただ、いちばん大切なのは「効果」そのものよりも、呼吸を通して今の自分の状態に気づく習慣を持つことです。忙しい毎日の中で、1分だけでも自分の呼吸に耳を澄ませる時間を作ってみてください。
トレーニング前後に取り入れるメリット
呼吸法は、運動習慣とも相性のよい練習です。トレーニング前に完全呼吸法で肺をしっかり使えるようにしておくと、体幹が安定し、姿勢や可動域を意識しやすくなります。トレーニング後は片鼻呼吸法や蜂の羽音の呼吸で副交感神経を優位にすると、心拍が落ち着き、回復モードへの切り替えがスムーズになります。さらに、呼吸が整うと眠りの質も上がりやすく、睡眠中の回復が翌日のパフォーマンスにも良い影響を与えてくれます。運動と呼吸をセットで習慣にすることが、ボディメイクを無理なく続けるコツのひとつです。
まとめ|呼吸を整えることは、心を整えること
ヨガの呼吸法は、単なるリラックス法ではなく、自分と向き合うための練習です。トレーニングの質を上げたい方も、体調やメンタルを整えたい方も、今日ご紹介した6つの呼吸法とアーユルヴェーダの視点を参考に、その日の自分の状態に合った呼吸を選んでみてください。
運動が久しぶりの方、自分に合った体の整え方を探している方には、自宅でも通いでも続けやすいレッスンが見つかる「FitFits」もおすすめです。呼吸から始めて、少しずつ体を動かす習慣につなげてみませんか。
監修:ヨガ講師いのり
ヨガインストラクター
10歳でヨガの本に出会い、現在フリーヨガインストラクター。自然豊かな富山県を拠点に、海や公園でヨガイベント、山奥でのヨガリトリートなど主催。インドへ通い、伝統的なヨガを学び続けている。RYT500/RPYT85取得。
